MASUMIのモードなイスタンブール　vol.3

2019.12.01Naviコラム

Istanbul Navi 2019年12月号

コスモポリタンなGalataの魅力-2

11月終わりのある夜、マルマラの海はロドスの風が吹いて荒れに荒れ、夜が明けると一気に真冬の到来を感じるイスタンブールになっていました。寒くてモノクロのイスタンブールが今年もやって来ましたね。キンと冷えきった空気の中で見るクリスマスシーズンのイスタンブールの夜景は格別ではないでしょうか。そんな季節にふさわしい、歴史と異国情緒が混じりちょっとエッジの利いたGalataエリアのホットスポットを前号に引き続きご紹介します。

イタリア人によって作られたことからイタリアの街角を彷彿させる石畳のSerdar-i Ekrem通り、両サイドには可愛いカフェやギャラリー、雑貨のお店が立ち並んでいます。私がイスタンブールで暮らし始めたのもこの通りの一角にある教会の敷地内の庭付きコテージで、この通りから昼のガラタ塔、夜のガラタ塔を眺めてはその風景を何枚も写真に収めました。新しいお店がオープンしては閉まり、と家賃高騰もあってか入れ替わりが早くて驚きます。中庭のある有名な高級アパートがあるのもこの通り。どこから撮っても絵になるフォトジェニックなストリートです。

Serdar-i Ekrem通りに面してある、素敵なクリスマスツリーが目を惹くラグジュアリーなブティックホテルはGeorges Hotel Galata。品のあるハンサムなオーナーと友人のアーティストたちがテラスでおしゃべりをしているのを見かけます。ホテル内のデコレーションもモダンフレンチスタイルで素敵ですが、ぜひルーフトップレストランへ。ここからの景色はBeyoğluの街並みからボスポラスを望み、Üsküdarまで広がる絶景です。冬でも温かめの日の夕方はここでBodrum産ビールPabloでサンセットを楽しみ、夜は美味しいカクテル……と、素敵な雰囲気の隠れスポットです。

続いてご紹介したいのは、髭と眼鏡が印象的なオーナーの美術館のようなアンティークショップ・Sofa Art&Antique。京都に買い付けに行くこともあるという日本の芸術も愛するオーナーのセンスが光ります。コンスタンチノープル時代のアクセサリーやアンティークカーペット、螺鈿細工の家具や貴重なタイル、陶器、トルコ人アーティストの絵画などがコレクションされています。一言「二階も見せて」と言っていただければ外の入り口から二階へ続く美術館のようなコレクションを拝見することもできます。ここの窓から眺めるガラタ塔もなかなか！

Sofa Art&Antiqueから坂を下りると右手に木工アトリエが見えてきます。クオリティの高い製品を作る木工師Mustafaさんはオーダーも受け付けてくれます。アトリエの突き当たりにある坂を下れば、そこはKırım Kilisesi(Crimean Memorial Chuch)。1868年に建設されたこの教会は、クリミア戦争でトルコ兵士を救ったことによりこの地を寄進されたイギリス軍が作ったという歴史があります。日中は自由に内部を見学できます。日曜の10時からはミサ、夜には時にコンサートやライブ会場となります。30年もの間教会を守り続けてきた神父の可愛がる猫や鶏、アヒルにカモ、加えて沢山のフルーツの木……美しい物語のあるGalataに根ざした歴史ある教会です。

ランチには、Beyoğluの若者っぽくコジーにトルコ料理を堪能できるGalata Kitchenはいかがでしょう。オーガニックと手作りにこだわるメニューにはベジタリアン料理もあり、お腹いっぱい食べてもお財布に優しい。夜は、コスモポリタンなイスタンブールならではの老舗ジャズクラブNardis Jazz Clubへちょっとおしゃれをして出かけてみましょう。初めてのイスタンブールでの大晦日の夜、自宅から徒歩5分のここへ一人で行き年越しジャズを楽しんだ日を思い出します。以来、私にとってNardisは友人とふらっと寄れる気軽なジャズクラブとなりました。以前は予約限定でしたが、現在はオープンと同時に早いもの勝ちで入店できます。平日は21時前に、週末は21時半前後（22時で既に満席のことが多い）にはお店の前で開店を待つことをオススメします。毎日異なるアーティストが出演しますので、Facebookや公式サイトでスケジュールを調べてみてください。お誕生日にはケーキの持ち込みやバースデーソングのリクエストなど、特別な夜に行くのもいいですね。おしゃれでアッパークラスのトルコ人が多いので、隣の席の人とお話ししても楽しいです。今年も残すところわずか。皆さんがイスタンブールで素敵な年を迎えられますように。