関西人Yeni.の横から失礼します。vol.37

前回コラムにも書いたが、長く患った爪周囲の感染症・ひょう疽(そ)がようやく治った。抵抗力が弱っているのだろうか、傷もオデキもなかなか治らない。あー、イヤだイヤだ。

ところで、ふいに思い立ってアンカラを訪ねてきた。トルコ最大都市であるイスタンブールが首都だと思われがちだが、実はこの国の中枢はアンカラにあり。人口で言えばイスタンブール1,600万人に対し、アンカラは600万人にも満たない。そんなこじんまりした規模の、国家公務員が多く暮らす比較的都市計画の行き届いた街、それが私の持つアンカラのイメージである。かつて、夫フローラがアンカラで8ヶ月間の兵役に就いていたので、繁く通ったものだった。そんないじらしい頃もあったのだ、私にも・・・(遠い目)。その後仕事で数回訪れたことはあったが、純粋な観光をするのは一体何年振りだろう。

政治の中心ではあるが観光地ではないので、「アンカラて何あんの?」と訊かれたら『アナトリア文明博物館』と『アタテュルク廟』、『アンカラ城』が思い浮かぶぐらいだが、他になんかあった?美味しいもんとかあるんかな。よし、出発!

 

 

アンカラへは車、飛行機、長距離バスでアクセスできるが、ガソリンをはじめとする物価高騰が酷い昨今、今回は最もリーズナブルな地方移動手段で再注目されているトルコの新幹線YHT(超高速列車、最高速度250〜300キロ)を利用することにした。2009年に運行を開始したYHT、イスタンブール〜アンカラ間を約4時間半で走る。車とそう変わらへんな。YHT御用達の友人Yちゃんにアドバイスを得て、チケット購入時には座席の進行方向を確認し( テーブルを挟んだ向かい合わせ席や逆向き席もある為)、旧車両と新車両を見分けるのに3号車の座席数がゼロになっていることを確認し( 新車両の3号車はカフェテリア)、チケットを専用アプリで購入した( チケット予約購入アプリ名:Eybis)。まだYHTがなかったその昔、イスタンブールから寝台夜行列車でアンカラを目指したことがあったが、時間は掛かるにせよなんともノスタルジックな列車の旅だったことを思い出す。今回は座席の周囲がうるさかったことや、カフェテリアにお茶やコーヒーがなかったこと(食堂車ですぜ?!)等々、色々不満はあったがなんとかアンカラに無事到着。

アンカラ駅に着いて、2016年の凄惨な自爆テロ事件によりこの駅前で多くの犠牲者が出たことが頭をよぎる。事件現場で手を合わせた後、タクシーで『アナトリア文明博物館』へ向かう。この建物は、かつてシルクロードに点在した隊商宿を改装したものだそうだ。博物館ではヒッタイト時代の遺物をはじめ、アナトリア(小アジア)に存在した様々な時代の出土品を山ほど拝むことが出来るので、歴史好きにはたまらないだろう。え?私はどうなのかって?それは訊かないでおくんなまし。

次の行き先はオスマン帝国時代の遺跡、『アンカラ城』。城と言っても城は現存せず、城壁のみが残っている。ただ城壁内と周辺はスラム化している場所があるので、日中の人出が多いうちに散策するのがベターである。ここはアンカラ一の高台なので、アンカラ市街の景色も一望できる。観光客向けの土産物屋が密集する中、いっぷくにと立ち寄った茶店で、滅多にお目にかかれない極上のトルコ紅茶チャイに出会った。『ピリンチ・ハン』と呼ばれる商館の中庭にある青空茶店だが、限りなくルビー色に近い色のチャイは、香りも味も最高だった。何をチャイごときで、と思われるかもしれないが、この色と風味のチャイを飲める機会はほぼ皆無なのである。今日は良い日だ。チャイの産地リゼでもなく、美食が集結するイスタンブールでもなく、ここアンカラで飲めたことにも驚いた。その後の夕食でも、今まで食べた中で最高のジャー・ケバブ(Cağ kebabı:横倒しにしたドネルケバブ状の羊肉を削ぎ切りにして串に刺したもの)に出会い、アンカラにた❤︎。前述のYちゃん曰く、アンカラの食のレベルはかなり高いのだそうだ。相当舐めてたわ、アンカラ・・・。大変失礼しました。

ここに行かずしてのアンカラ訪問はあり得ない、言わずとも知れた『アタテュルク廟』(Anıtkabir:アヌトゥカビル)。トルコ共和国建国の父であり初代大統領のムスタファ・ケマル・アタテュルクさんのお墓参りは、今回のアンカラ旅行の大きな目的の一つだった。ちょっとギリシャ神殿を思わせるような威風堂々の建物には、やはり沢山の訪問客がいた。たまたま国内外からの来賓御一行が二組いたので黙祷のタイミングが二度あったが、どれだけギャーギャー騒いでいても写真を撮りまくっていても、黙祷のファンファーレが鳴った瞬間、トルコの人々はいじっていた携帯をサッと下ろし、直立不動で黙祷するのだった。トルコで完全に時が止まるこのシーンだけは、何度見ても感動してしまう。アタテュルクさんは地下深く深く埋葬されていて、その丁度真上に霊廟の形をした40トンの花崗岩が載せられている。偉大なリーダーの墓前で私も思わず手を合わせた。南無・・・。構内にはアタテュルク博物館が併設されていて、彼の功績の詳細が豊富な遺品と共に一般公開されている。一糸乱れない衛兵の交代シーンなども、見ものである。

長い見学を終えた我々一行は、腹ごしらえにケバブ屋を目指した(またケバブか!)。そしてここで食べたレバーの串焼き(Ciğer:ジエル)にまたまたノックアウト。なんなん?!完全に舐めまくってたわ、アンカラ・・・。申し訳ございません、ワタクシが悪うございました。

 

 

と言う訳で、一泊二日のアンカラへの旅は敬愛するアタテュルクさんのお墓詣りも出来たし、アンカラ在住の懐かしい友人達にも会え、びっくりな美味しさにも遭遇し、思いのほか楽しいものとなった。今度はどこ行こかな?

 

私史上最高のジャーケバブを堪能できるレストラン 
Sadık Usta
 Kale Mah,Atpazarı Sok.No:18,Ulus-Altındağ,ANKARA

私史上最高のチャイを堪能できる場所 
Pirinç Han
 https://maps.app.goo.gl/BEqmvp3B5QP9E7xy7?g_st=il

私史上最高のジエルを堪能できるレストラン 
Ciğerci Bahattin
 Emek Mah,Biskek Cad.68/C,ANKARA 



 [email protected]
@yomikiriistanbul / @torukohitokomagekijou
 読み切り![イスタンブール]/ トルコでこどもを育てています。

 vol.36                                 aaaaaaaaaaindex  

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