関西人Yeni.の横から失礼します。vol.19

2021.12.05Naviコラム

Istanbul Navi 2021年12月号

あれよあれよと言う間に師走に突入し、引き続きコロナに翻弄され続けた2021年も残すところあと僅かとなったが、読者の皆さんはいかがお過ごしだろうか。トルコで年越し、または日本に帰省される方々も多いことと思う。世界的にデルタ株が猛威を振るっていたと思ったら、今度はオミクロン(ギリシャ文字15番目「O」の読み方）て。何やねん、その名前!“おてもやん”か！年の暮れのサプライズ、このオミクロンに今度は振り回されるのかと思うと気が重いが、刻一刻と変わる新型コロナウイルス関連の最新情報は ISTANBUL NAVI にお任せすることにしよう。せっかくの年末、少し明るい話題で本年を締めくくりたいと思う。

2年に渡るコロナ禍であっても、イスタンブールには新たな観光スポットが幾つもオープンした。そこで2回に渡り、私Yeni.が新スポットをご紹介すべく読者の皆さんをナビゲートしたい。今回は、ヨーロッパサイドの一大繁華街・タクスィム広場から2021年5月に開館したタクスィム・ジャーミィーと、同広場を挟んだ向かいにこの秋10月に新装再オープンしたAKM（アタテュルク文化センター）を訪ねてみた。

2017年着工から約4年で完成したこのモスク、ミナレット（尖塔）は2本とこじんまりした仕上がりになっている。しかし器はコンパクトだが、エレベーターや地下駐車場完備のトルコ初？バリアフリー・モスクである。これまで多くのモスクを観てきたが、エレベーター付きモスクは初めてだ。靴を下駄箱に入れて（モスクは土足禁止である）持参したストールを頭からすっぽりかぶり、女性用礼拝スペースに侵入……じゃなくて入室する。宗教学科の女子大学生達なのか、本やノートを広げて思い思いに自習中であった。彼女達の邪魔にならないように移動して、そっとドームを見上げる。私がモスク拝観で一番好きな瞬間である。絨毯にぺたりと座り込んで、美しい天井ドームの装飾を眺めていると不思議に心癒されるのだ。タクスィム・ジャーミィーのそれは、こぶりで落ち着いたものだった。ドームだけで
なく全体の室内装飾に木材が多く使用されていて、色調もミントグリーンとダークブラウンで統一されているせいか、礼拝所というよりは邸宅の風情だ。私が見慣れたモスクは、壁面に張りめぐらされたタイルによる鮮やかなブルーを基調としているので、ウッディなモスクは新鮮だったが崇高さはあまり感じられなかった（と、わかったようなことを言ってみる）。それでもなぜか美味しそうで懐かしい気持ちにさせられたのは、ミントグリーンと焦げ茶色のハーモニーが、昔よく食べたサーティーワンのチョコミントを彷彿とさせるからか……（知らんがな！）。

拝観を済ませて玄関口に出たら、凝った装飾付きの門によじ登っている人間を発見！さては不審者か？！と思いきや、掃除のおっちゃんが雑巾でガラスを拭いていたのだ。おっちゃんは一体、どの辺まで自力でよじ登るつもりなのだろう。ここにハシゴはないのだろうか（どうでもええわ！）。

さて次は、1969年に開館（したものの翌年の火災により改修工事を経て1978年に再オープン）した旧館が、2008年から10年の長きに渡る閉鎖のあとに一から再建されて蘇った、イスタンブールが、そしてトルコが誇る文化劇場・新AKM（アーケーメーと読む）にやって来た。

私がトルコに来て数年は、何度となくこの旧館に来てはミュージカルやオペラを鑑賞したものだった。トルコ国立オペラバレエ団などが舞台に立ち、チケット料金も格安で誰でも気軽に芸術を楽しめた当時を懐かしく思い出す。旧館閉鎖から13年、満を持して2021年10月29日の共和国記念日に華々しく再々オープンしたのだった。それを皮切りに、国内外のオーケストラやアーティストが次々とコンサートを行い、様々な演劇も上演中の今最も熱いカルチャースポットである（詳しくは、AKMオフィシャルサイトwww.akmistanbul.gov.tr をご参照）。パンデミック下の厳しい自粛生活で芸術に飢えていた人々にとって、新AKMオープンは心昂ぶるビッグニュースだったに違いない。

オペラ・コンサートホール入口の様子・・・

AKM建物裏にも潜入・・・

いざ、AKMデザインショップへ！が・・・

トルコにも、美しすぎる図書館誕生！

リサーチ不足でAKMが月曜定休だとは知らず（カフェはオープン）、一部お目当ての場所に入れなかったのが非常に心残りだ。このリベンジをと、大晦日31日に行われるイスタンブール国立オペラバレエ団によるニューイヤーコンサートのチケットを衝動買いしてしまった。いいのだ。今年頑張った自分にご褒美するのだから。そして、この2年全く着て行く場所のなかったよそ行きワンピースを引っ張り出してきて、今から当日の夜をひとり妄想している。オーッホッホッホッホ!!!