関西人Yeni.の横から失礼します。vol.45
師走も残すところ、あと少し。皆さんにとって2023年はどんな年だっただろうか。私はこの1年で大きく成長した（腹回りがねゴニョゴニョ・・・）。大きくなりすぎて、お気に入りの洋服たちが次々とたんすの肥やしと化してしまったのだ。節操なく飲み食いしたツケが大きく回った、タガの外れた1年となった。し、しかし良いことも言っておこう。同時に今年は、フラメンコ、ワイン講座、作家養成講座など趣味に大いに没頭出来た一年ともなったのである。
さて、そんなこんなで今回は『2023年トルコ10大ニュース』と題して、今年のトルコを時系列で振り返ってみたいと思う。
言わずもがな、今年のトルコはこの大惨事で始まった。2月6日早朝4：17にトルコ南東部カフラマンマラシュ県パザルジュックを震源地とするマグニチュード7.7の地震が発生、同日13：24には同県エルビスタンでマグニチュード7.6の地震が更に発生し、南の隣国シリアでも大きな被害の出た未曽有の大災害となった。トルコ当局の公式発表では死者5万人とされ、多くの人々が今でも仮設住宅やテント暮らしのままである。地震当日はトルコの新学期初日。ところが前週からの大寒波により、全国的に休校措置がすでに取られていた日だった。あれから被災地を二度訪ねる機会があったが、現場は地獄絵そのもので、無力な自分に心が潰れたあの情景は一生忘れられない。救われたのは、被災地の子どもたちの笑顔とたくましさ。震災からもうすぐ1年、一体復興はどれだけ進んだのだろう・・・。
トルコリラの暴落と物価高で苦しみ続けて2年以上、国民の生活はますます貧窮している。就業者のうち最低賃金受給者が約6割といわれるトルコで、2024年1月から適用される最低賃金は17,002リラ（約8万4千円）。一方、Türk-İş（トルコ労働者組合連盟）の発表によると、2023年11月現在の4人家族の一世帯あたりの飢餓ラインは14,025リラ（約6万9千円）、貧困ラインは45,686リラ（22万5千円）という結果になった。最低賃金が貧困ラインを大きく下回っているのがおわかりだろう。もしその世帯で働き手が1人だったら？共働きでも貧困ラインに至らないのだ。うちの家賃が去年前年の倍になり、今年更に去年の倍になった、と言えば異常さがわかっていただけるだろうか。こんなトルコに誰がしたっ?!
“祭りのあと”後遺症を多く出した、2023年大統領選挙と議員選挙。投票は5月14日に行われたが、大統領選で候補者二人とも過半数を獲得できなかったため、5月28日に再選挙となったのだった。結果はエルドアン大統領の再選となり、多くの事前アンケート結果を裏切る形となった。結局、国民の半分以上は今の王様で満足なのだ・・・。
カンヌ映画祭の常連であるトルコの映画監督ヌーリ・ビルゲ・ジェイランの出品作品『About Dry Grasses（英語タイトル）』に出演したトルコの女優メルヴェ・ディズダルが、見事に最優秀女優賞を受賞した! 本人全く予想していなかったようで、名前がアナウンスされた直後の彼女のぶっ飛んだ驚きの表情が微笑ましかったなぁ〜。「ヌライ（彼女の演じた役名）とヌライのような女性たちの挑戦を勇気づけるために、そして自分たちの置かれた環境に屈することなく、すべてのリスクを負って、何があっても夢を諦めないすべての女性たちと、本来あるべきトルコの明るい日々を目指して闘う、すべて挑戦者の魂にこの賞を捧げます。」という彼女の受賞スピーチに心を打たれたことも付け加えておこう。
随分前からトルコ政府が要望していたらしいが、2023年6月にめでたくトルコ国名を英語表記でもTurkeyからTÜRKİYEに公式変更することが、国連で承認された。ターキーって七面鳥という意味の他に愚鈍とかいう否定的な意味もあるようで、トルコの沽券に関わる! ということだろうが・・・このUの上に点々とか大文字でもＩの上に点とか、普通のキーボード設定で出ーへんし。「トルコ」の国名が入った公式文書打つのに困ってる人、世界中にいっぱいいるで絶対。
暗いニュースの多かった2023年トルコの、数少ない嬉しい話題がこちら。バレーボールの国別リーグ戦であるネーションズ・リーグでなんとトルコが優勝！もともとトルコ女子ナショナルチームは強かったが、これで世界最強のタイトルを手に入れた。あっぱれ、トルコ女子!!! 中でも貢献度ぶっちぎりナンバーワンは、金髪に染めたベリーショートヘアと童顔がキュートなバルガス選手。キューバ生まれで、のちにトルコ国籍を取得したスター・アタッカーである。カンヌ映画祭もそうだが、トルコ女子の活躍を見ると元気出るわ!
アメリカが当初から明確に支持してきたイスラエルによる一連の軍事作戦、一方トルコはパレスチナを支持し、そのためアンチ・イスラエル、アンチ・イスラエル支援国ムードが国内で高まった。アメリカ資本の某コーヒーショップチェーン店にいる客のコーヒーがぶちまけられたり、アメリカ資本の某バーガーショップでボイコット運動があったり、先日など某コーヒーショップチェーン店のロゴが入ったマグカップを放送中に側に置いていたニュースキャスターが局をクビになったりもした。そこなん？なんか矛先間違ってるんちゃう？
私の敬愛するトルコ建国の父であり初代大統領である、ムスタファ・ケマル・アタテュルクが独立戦争を指揮して誕生したトルコ共和国が、2023年で建国100周年を迎えた。それを記念した5リラ硬貨が発行されたが（まだ流通しているのを見たことがないが）、一部の報道によると硬貨に彫られたアタテュルクは、本人に全く似ていないという説あり。ニュースで見る限り、確かに「これ誰なん？」的な仕上がりである。トルコ人にとって非常にデリケートなアタテュルク関連事項なだけに、造幣局が製造試行中に「これ似てませんよね、別人ですよね」っていう指摘が誰からもなかったのか、謎である。
某民間銀行の某支店長が、トルコサッカー界の大御所を筆頭にあらゆる有名選手たちを巻き込んで起こした大規模な詐欺事件が、今秋トルコで話題をさらって久しい。実際には主犯格と思われる容疑者は今年の4月に身柄を拘束されていたようだが、なぜ今頃公になったのだろう。それにしても何百万ドルという現ナマをボストンバッグに入れて受け渡したりとか、スペインの大ヒットドラマ『ペーパーハウス』か?!と言いたくなるなんとも不可解な事件であった。
ペーパーハウス：8人組の強盗団が、67人の人質を取りマドリードの造幣局に立てこもった。24億ユーロを持って脱出するという完璧な計画を練っていたが、強盗団は崖っぷちの状況に追い込まれる。2017年にスペインの放送局Antena 3からパート1と2が放送され、その後Netflixが独自に再編集し全世界へ配信した。2019年のパート3以降はNetflixが製作・配信している。批評家から高い評価を受けており、第46回国際エミー賞では最優秀ドラマ・シリーズを受賞した。
トルコ料理が世界三大料理の一つであることは知られていても、国際的に評価されるレストランは一体今までどれほどあっただろう。個人的には、トルコには美味しいものが溢れているし、知る人ぞ知るでも地元民が満足出来ればそれはそれでえーやんと思ってはいた。しかしとうとう、昨年2022年からグルメガイドブック・ミシュランがトルコも対象にし（遅いんちゃうん？）、星付きレストランがいくつも誕生した。そして今年はさらにイスタンブール以外の地域にも審査対象が拡大され、トルコも美食の国として分かりやすい形で国際的評価を受け始めた。これはトルコに住むものとして誇らしいことだし、豊かな食材とバラエティーに富むトルコ料理の美味しさを世界に宣伝する上で、これ以上ないチャンスである。さらに2023年からは、同じフランスのレストランガイド「ゴ・エ・ミヨ」もトルコを審査対象にし、多くのレストランが評価された。その中でも特筆すべきは、イスタンブールにオープンしてわずか8ヶ月でミシュラン一つ星を、続いてゴ・エ・ミヨのトック(コック帽のこと)三つをいきなり獲得した、懐石&江戸前寿司レストラン『SANKAI BY NAGAYA』(上写真)。すでにドイツにミシュラン一つ星和食店を持つ長屋シェフによる、トルコの食材をふんだんに使った、目に麗しく食べて蕩けるアートのような一品の数々。ハァ〜、生きてて良かった。ところでこのゴ・エ・ミヨ、初めて聞いたとき「ゴエモンてなんや?」と思ったのは無知な私だけか。
SANKAI BY NAGAYA
Bebek,Cevdet Paşa Cad.No:34,Beşiktaş BEBEKHOTEL内
SANKAIBYNAGAYA
[email protected]
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@torukohitokomagekijou
読み切り！［イスタンブール］
トルコでこどもを育てています。
