関西人Yeni.の横から失礼します。vol.23
トルコ語で「ザムZam」という言葉を聞いたことがおありだろうか。アラビア語源の単語で、値上がり、値上げ、物価上昇という意味である。私がトルコに来た23年前からトルコでは慢性的にインフレ率が高く、物価上昇が頻繁に起こるので、国民の懐具合を脅かすものとして、恐竜のような姿の“インフレ怪獣”イラスト(左下参照）でもって度重なる値上げが風刺されたものだった。ところが、忘れもしない2018年8月のトルコリラ大暴落で、それまで1ドル＝4リラ台だったのが一気に7リラ台に下落し（丁度ギリシャへ旅行中だったので、その後外貨で支出するのが怖くなり一気に旅気分が萎えたのだった）、そこから一時は持ち直し
たのが、今度はパンデミックによる経済への悪影響やトルコ経済政策のマズさなどなど色んな要素があいまって、2021年12月にはなんと1ドル＝18リラ台にまで貨幣価値が落ち込んでしまった。石油や天然ガスをはじめとする多くの品目を輸入に頼るトルコ、すべて外貨払いなので物価が跳ね上がらないはずはない。ところで大昔、社会の時間だったかトルコは100％自給自足出来る国だと習った記憶がある。もちろんエネルギーだけは海外に依存するが、広大で肥沃な国土、豊かな自然、また様々な気候帯に属すお陰で、農業や畜産業が盛んな国だというイメージが頭の片隅にあったのに。いつの間にこれほど輸入に頼るようになったのだろう。小麦を輸入て。トルコは世界有数の穀倉地帯ちゃうかったん？私がお米の国の人ならば、トルコ人は小麦粉なしでは生きられない、粉もんの国の人なのに。この国の本来のポテンシャル考えたら、ほんまに勿体なさすぎる。
話が逸れたが、そんな訳でザムもザム甚だしく、国民は経済的にどんどん生きにくくなっている。青空市場に行っても、もうかつてのようにキロ単位でどっさり野菜や果物を買う人は少ない。昔トマトやキュウリを個単位で買う私を笑っていた市場のおじさん達も、今はもう笑えないだろう。全てが高騰し、欲しいものを満足に買うことが難しくなっている。ガソリンもどんどん上がる、ガソリンが上がれば全ての値段が更に跳ね上がる。そして冬場に暖をとるのに欠かせない天然ガス料金と電気代が、またえらいことになっている。特に電気は、今年1月から料金改定がなされ、一月あたり一定電気使用料（150kWh）を越えると元々値上げされた電気代が更に５割高で計算され、一般家庭から産業分野まで52％から最大127％の値上げ率となった。我が家も、今年になって届いた電気料金請求書を見てびっくり！値上げ前と比べて6割近く上がっていた。その後国民の激しい抗議の声で、ここの国の王様が一定電気使用料ボーダーラインを150kWhから210kWhに引き上げたけれど、それでどんだけ緩和されるのか。それでも止まない政府への大・大批判で、さらに王様は今日2月16日夜に更なる電気料金高騰への対策を打ち出すという発表を余儀なくされたが、さて我が家の電気料金、来月は一体いくら来るんやろ。
それでもきっと高いであろう電気代を少しでも浮かせようと、我が家では絶賛節電対策実施中である。こまめに電気を消すようにしているし、夜は出来るだけ早く寝たり、洗濯物を纏めて洗うことで回数を減らしたり、等々である。夫フローラは、居間でテレビを観る時は電気を点けなかったりする。テレビの光が照明なのだ。これだけは私は慣れない。モグラか私ら・・・。
一方、トルコは2016年夏から冬時間を撤廃して一律夏時間を採用する決定をしたので、ここ数年トルコの冬の朝はマックロクロスケである。それまでは毎年春に時計を1時間早め、秋には1時間遅らせていたのが懐かしい（トルコと日本との時差は、春夏は6時間で秋冬は7時間だった）。冬時間撤廃の理由として顕著な省エネルギー効果が挙げられているが、それってホンマ？！だって我が家は朝の6時から8時半頃まで電気をガンガン付けっ放しである。それほど夜が明けるのが遅い。息子ポケモンなぞ、7時過ぎに家を出ていくが外が真っ暗なので本気で心配である。同じように世の働く人々や学校に通う子ども達は、この真っ暗闇の中をゴソゴソと出勤・登校していくのだ。まさしく国民総モグラ。これ精神衛生上もよろしくないと思うが。それに、絶対余分に電気消費してないか総モグラ、じゃなくて総国民？せっかく夜にケチケチ節約しても、朝がこれでは意味ないではないか！
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