関西人Yeni.の横から失礼します。vol.22

2022.02.01Naviコラム

一体どこで感染したのか。陽性反応が出た時、年の暮れに会った大勢の人達の顔が浮かんだ。もし私が誰かにうつしていたら・・・。気が気ではなく、会って飲食をした人全員に連絡を取ったが、幸い誰も感染していなかったので、ひとまずは安堵。一方で、私の通うカルチャーセンターでは同時期に数人の陽性者が出た。飲食こそしないがマスクをしない人がギター教室にいたり、セリフを言う時に時々マスクを外すことのある演劇講座こそ原因かもしれない。しかし聞き込みしたところギター教室の感染者は家庭内感染だったし、演劇講座の方も大晦日の夜に集まったメンバーで集団感染したことがわかった。じゃあ、感染源はどこだ？先に発症したのが夫フローラなので、やっぱり私はフローラからうつったのだろうが、フローラは一体どこで？彼は年末殆ど誰にも会っていなかったし、発症前に行った唯一の外食がクリスマスに家族で出かけたレストランだけ。ということは、あのレストランでもらってきたとしか思えない。そう広くない閉じられた空間で、一定の時間マスクを外しっぱなしで飲食する訳だ。他人が座っている隣のテーブルもそう離れてはいない。彼らのつばや飛沫が余裕でフローラの顔に飛んでくる距離である。はたまた、テーブル間を動き回る店員が誰かが口をぬぐった紙ナプキンや汚れた食器を運んだ同じ手で、私たちのテーブルにもサービスしに来る。彼らが介在してウイルスが撒き散らされている可能性だってあるのだ。特に感染力の強いオミクロンについていえば、同じテーブルに座る人達が問題なくとも、室内でマスクを外した瞬間もう誰も安全ではない。そのことが今回、よ〜く分かった。

結局、感染経路は不明だし市中感染だろうとあちこちで話したら、まるで探偵ね、シャーロック・ホームズみたいじゃないと言われた。だって誰も感染経路なんて教えてくれないから、自分で確かめるしかない。だろう？ワトソン君。（誰やねん）そう言えば、トルコは過去に感染経路調査をしていたはずだが、私が感染中の時は当局から同居人の有無を訊かれたのみである。そんなもん？もうエボラ出血熱みたいな怖いレベルは終わったのか。そう言えば、日本で大学時代の友人がインド旅行帰りに伝染病（マラリアだったか赤痢だったか）に罹り、隔離病棟で療養していたことがあったが、その時保健所から電話があったことが思い出される。私の健康状態に異常がないか問われ、「あなたは最近インド帰りの〇〇君と食事されましたね？あなたも感染している可能性があります」と言われ、ドキッとした。もし症状が現れたら、速やかに医療機関で受診するよう忠告されたのだった。今思えばあれがホントの感染経路調査だったよな、ワトソン君（もうええわ！）。

それはさておき。隔離3日目の1月5日夜、トルコ当局は突然14日間の自宅隔離期間を半分の7日間に短縮したのだった！思わずガッツポーズを取ったのは私だけではないだろう。

これはまるで、服役中の囚人がお上の突然の恩赦で早々に釈放される、そういった状況である。ホンマ私ら夫婦・・・ラッキー。2週間家に閉じ込められる予定が、数日後には解放されるて！この短縮理由については言及されなかったが、オミクロンが比較的軽症で済むこと、政府負担のPCR検査費用がバカにならないレベルに嵩（かさ）んできたこと、2週間も隔離措置になると経済が回らない、というのも大きいのかもしれないと勝手に想像する。それでも、我々隔離5日目に息子ポケモンのPCR検査は必須だった。正直、それまで超・濃厚接触者であるにも関わらず、無症状が為にリスクなしだったポケモンの存在が非常にありがたかった。だって、買い物やら何やら彼に頼むことが出来たから。しばらくしてなんだか鼻をグズグズやっていると思ってはいたが、やはりポケモンも見事に陽性に。息子よ、公認リスクグループへようこそ。これでも、それなりにポケモンを守ろうと色々やったのだ。家の中では全員マスクを着けていたし、トイレも分けて（二つあってよかった）、食事時間もずらした。でも家庭内感染を防ぐって、ほぼ不可能。ごめんな、ポケモン。そして今度は息子の隔離期間がスタートしたのだった。子どもだからか、一番症状の軽かったのはポケモンだ。鼻水と鼻づまり、くしゃみぐらいで、幸い軽い風邪のような症状のみだった。

やがて我々夫婦の隔離期間は終わったが、それでもほぼ家に篭って誰にも会わず大人しくしていた。このコロナ、私の場合鼻の奥に長く巣食っており、横になると急に鼻が詰まってきて息が出来ず口呼吸になったり、長く鼻声が治らなかった。しばらく塩水で鼻うがいも続けたが、普通の鼻風邪のようにはスッキリせず、これがオミクロン変異株の特徴なのかとひとりごちた。

そんな中、今度は1月12日に保健相が3回ワクチン接種者で無症状の場合は濃厚接触者でもPCR検査の義務がなくなり、今後は症状のある者のみを対象に検査すると発表した。つまり、ポケモンがあのまま無症状だったら、5日目の検査もお咎めもなしで通常生活を続けられるという話である。それ、さすがにマズいんちゃうん？

更に1月15日には、内務省からの通達によりワクチン未接種者への制限が全て解除されたという衝撃的な発表もあった。つまり、飛行機やバスなどの公共交通機関利用の長距離移動、劇場や映画館などへの入館、公共機関職員や一部民間企業職員、また学校職員へ義務付けられていた定期的なPCR検査が一切必要なくなったのだ。何で？こんなことして、まだワクチン接種していない人々が今後ワクチンするか？絶対ない。一体ここの政府、何を考えているのだろうか。もうトルコ国民総感染して、集団免疫つけろとか思ってるのだろうか。ここでまた、この国に見捨てられたような気がした。ところがさすがにこの無謀な発表は強く非難されたのだろう、翌日1月16日には飛行機搭乗の際だけはワクチン未接種者はPCR検査陰性証明の提示が求められることとなった。当然やろ！てか、なんで飛行機だけなん？！

そんなこんなで今日は2月2日で我が家の全員が感染して早1ヶ月が経過、その間もトルコの感染状況は日々悪化し、2月1日現在新規感染者数は10万人を超え、同日の死者は198人である。今後の感染増加を食い止めるには、ワクチン接種を速やかに進めて集団抗体をつけつつ、感染者の早期発見のため検査を出来るだけ頻繁にあらゆる場所でやり続けるしかない。少なくとも検査に関しては、もっと簡単に検査が出来る抗原検査キットが有効だと思うのに、トルコでは全く普及していないのが不思議である。ところが国内製造は大量にして、よそ様の国には輸出しているらしい。だったら自国民にどうしてさせない？？？このキットが普及したら、日毎感染者数が10万人どころかおっそろしい数なのが明るみに出るから、だろうか。謎は深まるばかりだ・・・ねぇワトソン君、君はどう思う？