MASUMIのモードなイスタンブール Vol.9

Istanbul Navi2021年5月号

 

 

海外でも有名なトレッキングルートで、キャンピングをしながらFethiye~Antalya間540kmを歩き続けるLikya yolu(リキヤヨル 英:Lycian way)。パンデミックで今のところ実現することはちょっと厳しい旅ですが、前号に引き続き、下準備と称して昨年11月に行った”7日間の車で旅するLikya yoluPart.2をご紹介します。

11月というと秋も終わりと思いがちですが、エーゲ海や地中海ではまだまだバケーションを楽しめます。シーズンオフのため人は少なく、ハイシーズンよりも価格は安く、それでいてまだまだ泳げる気温!この時期を逃す手はありません。Part.1ではÖlüdenizまでの道のりをレポートしましたが、今回はさらに南下、人気のKaşへ車を走らせます。

山の斜面の岩場を切り出したワイルドなエーゲ海の海岸通りは、ただただ美しいとしか表現のしようのないダイナミックな景色が広がります。その途中には、大自然が時間と共に作り出した有名無名のビーチが点在しています。岩山が割れ、裂け目が広がって秘境ビーチが創り出されるのです。

Kaputaş Plajıから1時間半ほど走れば、目的のKaşへ。海沿いのキャンピング場で二泊したのですが、ここはこの旅一番のお気に入りになりました。このキャンピング場で出会った人たちの多くは何ヶ月もトルコを旅をし、海を眺めながらパソコンで仕事をする外国人キャンパーで、パンデミックにおける新しい旅のスタイルを垣間見ました。イスタンブールのアパートのご近所に住むトルコ人カップルにも偶然に出会ったり……、世界は広いようで狭いですね。

朝、キャンプ場のビーチに飛び込み、車で周辺のビーチを順番に回泳し、豊かな美しいエーゲの海を満喫した夜はKaşの街でRakıとMezeを楽しみます。海沿いでの買い物の私の定番は、セラミックの器。様々の街でオリジナリティ溢れるセラミックアーティストのお店を見つけることも、エーゲ海ショッピングの楽しさです。

 

 

名残惜しいKaşを後にし、ボートトリップをしようとKekovaへ向かいます。手軽な3時間ツアーを見つけ、小さなボートに乗り込み出発。Kekovaの海はエーゲ海ではなく、地中海。真っ青で海底まで透き通る美しさです。小さな島が点々とあり、岩窟墓の遺跡、またここは地震で海底に沈んだ都市遺跡も有名です。

 

 

まずはKekova島のkaleköy城を訪れます。頂上から見ると、沢山の島で形成されたこの地形のユニークさ、とにかく美しい。

海中都市遺跡の悠久の歴史を感じながら、途中ボートを止め、静かな入江で魚になった気分で泳ぐこの上ない贅沢な瞬間。そんなKekovaに後ろ髪を引かれながら、さらに南へと車を走らせます。Antalya西部へ近づくにつれ山々も高く険しい表情になり、慣れた穏やかなエーゲ海の空気から一転、厳しい自然の空気を感じました。

Adrasanを超え5日目の夜、最後のキャンプ地はビーチのあるÇıralıで二泊。Çıralı Plajıはヒッピー、ボヘミアンな人々が多いことで知られています。

ここから山へ進むと古代遺跡Olympos Antik Kentが広がります。あまりに広大のため遺跡が無造作に残り、まさに大自然の中の大博物館。

夕方、Çıralı Plajıから登ったOlympos北側に、ギリシャ神話で”火を噴く怪物キメイラを倒した場所”として登場するYanartaş山(標高300m)があります。地面から漏れ出す天然ガスによって永遠に消えることのない炎で有名。約1km程度の軽い登山ですが、なかなかハード、到着した頃にはすでに日も暮れ、この不思議な光景をみようと観光客が集まっていました。持参したワインで乾杯し、魅惑の永遠の炎を囲んで様々な国の人々と語り、春には一緒にLikya Yoluを歩こうと約束。このYanartaşのエターナルファイヤーが”7日間の車で旅するLikya Yolu”の最後の夜となりました。

 

大冒険の7日間、540kmを歩いたわけではないのに、この疲労困憊と達成感……。旅の終わりはすでに気温は15度程度となり、11月末がシーズン終わりに感じます。今回の車のルートでは見ることができなかった山奥にある古代遺跡、大自然との格闘は、自分の足で歩くLikya Yoluでいつか必ず体験したいと思います。リキア古代文明と豊かな大自然のこの宝箱のようなトルコ南西リキアの旅、パンデミックが収まったらぜひ皆さまも訪れてみてはいかがでしょう。

 

 

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