関西人Yeni.の横から失礼します。vol.7

Istanbul Navi 2021年6月号

 

トルコで初めての17日間に渡る全面ロックダウンが5月17日に終わり、長く厳しく辛い夜がようやく明け始めた。全面、っちゅーか、「じゃ、出来る人やってみよっかぁ?」っちゅーか、隠したけど尻丸見えだったっちゅーか……。まぁええわ、終わったことは。

そして5月31日の夜、この国の王様が更なる規制緩和、トルコ語でそのまま表現すれば『段階的通常化』第二段階内容を発表したのだった。今後は結婚式や披露宴が開催出来ること、映画館が50%のキャパシティーで営業出来ること、平日夜間の外出禁止開始時間が21時から22時に延長されたこと、等々だ。しかし最も注目されるべきは、ずっと禁止だった飲食店の接客営業が再び許可されたこと、そして週末の外出禁止令が土曜日だけは解除されたことだ。しかし子を持つ親が一番気になっていたのは、学校の対面授業がいつ始まるのか、現行の遠隔授業のまま学期が終わってしまい、夏休みに突入してしまうのか、という点だったはずだ。ところが王様の発表には義務教育に関しての言及はなく、大学の新学期が9月になるということだけだった。

そもそもこの王様の発表は非常に難解でどうとでも解釈出来る場合があるので、不勉強な私にはいっぺん聴いただけでは理解出来ず、何度も確認してやっと把握出来るレベルなのだ。さすが、王様である。パンデミックが始まって以来いつの頃からか、定期的に王様が行う発表を家族みんなでテレビの前に正座(←はしていないが)して、ハハァ〜ッと有り難く拝聴する癖がついた。王様の一語一句を聞き逃すまいと、耳をそばだてて必死にテレビに齧りつく。なぜなら、今、私達の生活に関わる最重要事項だからだ。しかも王様は決まって、夕飯時に発表なさるのだ。平民はご飯の途中でも茶碗と箸をほっぽり出して、テレビの前に並んで神妙に聴き入る。まるでいつかどこかの天皇の玉音放送のようだ……知らんけど。

王様の発表を聴き終わって、え〜結局学校どうなんねん、と解せないでいると、ニュースで速報が入った。国民教育省からの発表があったのである。急いで国民教育大臣公式ツイッターを見ると、

「やっと会えるね!」

から始まる、翌日からの小学校登校開始についての発表が掲載されていた。やっと会えるけど……今、夜の9時って知ってます?ここまで長期に学校がなかった上、いきなり明日から始めるって、今言います?この発表があった後、子ども達や保護者をはじめ、各学校の教職員の方々の動転ぶりたるや、想像に難くない。王様も難解だが、大臣たちもなかなか隅にはおけないのだ。

 

 

一方、依然外出禁止が続く日曜日だが、個人商店、八百屋、スーパー、肉屋、乾物屋、菓子屋、パン屋は通常通り営業出来、電気製品、玩具、衣料品、アルコール類、文房具、工具類等々の販売は禁止続行。出たぁ、乾物屋!私はあえて、豆屋と言わせてもらう。だって売ってんの、豆やし。今日までありとあらゆる店舗で働く人々が経済的に追い込まれてきたこの一年以上、ポッポッポ豆屋だけは不思議に優遇されてきた。何故?緊急でパンツとか電池を買う必要に迫られることはあっても、鳩でもないのに豆無しではいられへんて、一体誰やねん!?

ー了ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 vol.6 ロックダウンその②                              index  

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