関西人Yeni.の横から失礼します。vol.31

2022.06.15Naviコラム

前々回のコラム『キラ難民』で今住むアパートの賃貸契約更新が近づいていること、そしてトルコで異常な家賃高騰が問題になっていることに触れた。あれから私たちは大家となんとか合意に至り、当面はキラ難民になることは避けられた。ところが合意に至ってから、腰の重かった政府がようやく対策に乗り出し（遅い！）、今後1年に渡って大家は前年比から一律25％を上限とする家賃の値上げしか出来なくなった。表向きは、2倍3倍の家賃値上げはもはや不可能になったのである。一方私たちの賃貸契約期間は10年を超えようとしているので、この25％上限は適用されないようだ。仮に適用されたとしても、10年を満了した賃貸契約では、無条件で借り手を立ち退かせることが出来るという恐ろしい権利が大家側に発生するので、下手に家賃アップを25％に抑えろなどと主張しようものなら、大家はきっと私たちを即刻追い出しにかかるだろう。ああ、借家暮らしはツライ！

気がつけば6月も半ばに入り、トルコの学校は今月17日で完全終業、9月の新学期まで3ヶ月間の長い長い夏休みに突入する。それに併せてトルコのホリデーシーズンもいよいよ到来！とは言え、長く続く経済危機の中一体どれだけの人々が行きたいところで存分に休暇を楽しめるのかは疑問だが・・・。

2020年春からずっと制限された生活を強いられてきたせいか、トルコ人にとってほぼ完全マスク無し生活で迎えた初めての自由な夏、浮かれた周囲はファッションまで開放的になっている、とYeni.おばちゃんは見た！顕著なのはヤング女子で、トップスは丈短のビスチェでデコルテ(胸元)ぼんっ、お腹チラ見えが普通。下は根強い人気のぱっつんぱっつん黒レギンスか、ハイウエストのテーパードパンツが殆どである。足元はスニーカー、ミニバッグを斜め掛けでトルコ女子のできあがり。昨今の暑さで、綺麗に塗ったペディキュア足のサンダル組も目立ち始めた。パンツ見えるんちゃう？！とこっちがドキマギするような超ミニスカートやワンピース姿も時々見かける。美しいものは、女性の目から見てもいいものである。まぁこういう明け透けなカッコがさまになるのは、彼女たちの手足の長さとカーヴィーなボディーラインのおかげだろう。これを自分がやったら・・・クワバラクワバラ。周囲から石投げられそうである。

一方、男子はと言うと、ヘアスタイルは刈り上げツーブロックがダントツ人気、Tシャツかパーカーの下は揃えたように足首丸出しの細身テーパードパンツと白のスニーカーという出で立ち。こう見てみると、昔に比べて男女共スポーティーで随分垢抜けた印象になったものだ。

私が移り住んだ90年代のトルコファッションは、もう少し保守的で地味だった。また女性はデコルテ（胸元）はたまに見せても脚はかたくなに見せないという、スカートが好きな日本女性とは逆のパンツ一辺倒なファッションスタイルがあった。今でも圧倒的にパンツスタイルが多いが、ホットパンツや腹出しは皆無だった。片や男性は、シャツでもTシャツでもジーンズに必ずインしてベルトマークするというダサいお約束があった。革靴も靴下もマストハブ。たとえ夏であっても、だ。ヘアスタイルもロン毛から丸刈り、映画『ハートブルー』のパトリック・スウェイジ（右写真）みたいな襟足長めまでと様々で、明確な流行がなかった気がする。要は皆、好き勝手に思い思いのファッションをしていたから、日本では常に人目を気にして装っていた私も流行を気にせず自分の着たいものを好きに着るトルコの気楽さが気に入ったものだった。

その気持ちは今でも全く変わらないが、体型は見事に変わり果ててしまった・・・

なので腹出しキャミソールも私がやるとえらいことになるので、着たい気持ちをグッと堪えてやめておくことにする（着ようとしてたん？！）。

さて、今年の夏もトルコで海に入る気満々の私であるが、10年以上着続けているワンピース水着が古臭くていい加減嫌になった。今年こそ新調したいと時間を見つけては水着売り場に足が向くけれど、腹回りの補正加工がないのはダメ、脇のハミ肉が気になってサイドの切り込みの深いものはダメ、ビキニはそもそもダメ、ダメダメダメ！と着られる水着がない！！キラ難民は逃れたが、今度は水着難民になってしまいそうだ。いっそ、全身隠すラッシュガードでも着るか。でも、ラッシュガードなんて全然可愛くない。昔エーゲ海で、トルコ人は絶対食さない野生のウニを、夫フローラと海から採ってきて石で割ってレモン絞って海岸で食べたの思い出した（周りのトルコ人たちに、あいつら何しとんねん、と好奇の目で見られていた）のは、ラッシュガード姿がダイバーか海女さんにしか見えないからだ。幾つになっても女は素敵な水着を着たいのに、もっと変動する体型に合わせた水着作ってや、トルコアパレルメーカー！